教員紹介

「子育て支援労働」を実証分析する学術書を出版

2022年12月14日

相馬直子教授は、「子育て支援労働」を実証分析するはじめての学術書を出版し、地域の子育てを支えるものとして制度に位置づけられながらも、アンペイドワークの延長線上にみなされるその労働実態を明らかにしました。

保育は「保育労働」として、介護も「介護労働」として、調査研究が蓄積されてきました。しかし、1990年代以降に全国で始まった子育て支援は、「地域子育て支援」として制度化されてきましたが、そもそも「労働」として社会的に認知されてきませんでした。その結果として、子育て支援に従事する人々の労働実態の研究も無く、労働問題として提起されてきませんでした。

こうした先行研究の盲点をふまえ、本研究では、地域子育て支援にかんする初の全国働き方調査を実施し、子育て支援の専門性が十分評価されず、低賃金ワークであり続けている実態が浮き彫りになりました

ただし、子育て支援が生み出す価値や資本は多様です。本書では、労働経済学的な側面のみならず、社会関係資本などの貨幣的評価では把握できない側面も着目し、地域のケア社会圏・経済圏・政治圏を創り出してきた、子育て支援労働の多様な側面について、全国データから描き出しています。

「ケアリング・デモクラシー」(ケアが豊かな民主主義)を、いかに地域主体で構想していくか。本書の問題意識は、アフターコロナの時代において、さらに重要になっていると考えます。ご関心のある方はぜひお手に取ってみてください。

書誌情報

相馬直子・松木洋人編(2020)『子育て支援を労働として考える』勁草書房。新しいウィンドウが開きます
ISBN:978-4-326-60327-5

研究者情報
相馬直子 :研究者総覧 新しいウィンドウが開きます