教員紹介

競り上げオークションの理論的性質の解明

2021年6月2日

 佐野隆司准教授は、インターネットオークション等で現実に広く用いられている「競り上げオークション」が、様々な動学的なオークションルールの中で望ましい性質を持つ唯一のルールであることを理論的に明らかにしました。

 「オークション」と一口に言っても、そのルールは様々です。インターネットオークション等で広く用いられている競り上げオークションは、入札者の戦略的行動(他人を出し抜こうとする行為)を防止し、かつ商品を最も高く評価している人が結果的に落札する好ましいルールの一つであることが古くから知られています。しかし、徐々に価格を変更しながら落札者と落札価格を決定するルールの中で、なぜ競り上げオークションが望ましいのか、他に望ましい性質を持つルールは設計できないのか、といった問題について、これまで十分に考察されていませんでした。

 本研究では、売り手が個々の入札者に様々な価格を提示しながら落札者と支払額を決定していく動学的なプロセスの中で、競り上げオークションが、入札者の戦略的行動を防止しかつ商品を最も高く評価している人が結果的に落札する唯一のルールであることを理論的に証明しました。

 本研究成果は、国際学術誌「Social Choice and Welfare」に掲載予定です。

書誌情報

Ryuji Sano (2021), Dynamic communication mechanism design, Social Choice and Welfare (forthcoming)
DOI: 10.1007/s00355-021-01309-y 新しいウィンドウが開きます


研究者情報
佐野 隆司:研究者総覧 新しいウィンドウが開きます