教員紹介

戦後国際金融システムの機能について新たな学説を提示

2021年5月31日

 西川輝准教授は、第二次大戦後に成立した国際金融システム(ブレトンウッズ体制)の機能について、国際通貨基金(IMF)の果たした役割に関する新資料の解析を通し、新たな学説を提示しました。

 1980年代以降、世界各地で繰り返し金融危機が生じるようになりました。とりわけ世界金融危機がもたらした影響は甚大で、国際金融システムの安定化に向けた検討が政策的・学術的に始まっています。こうしたなか注目を集めているのが、1970年代に崩壊するまで安定した国際金融システムとして機能した(とされる)ブレトンウッズ体制です。

現在、多くの研究がブレトンウッズ体制の理念や設計それ自体に国際金融システムの安定性の本質を見出し、現代への教訓を得ようとしています。これに対し本研究は、IMFエコノミストたちの残した政策文書の解析により、実はブレトンウッズ体制が当初の理念・設計通りには機能しておらず、為替相場の安定化や経常収支不均衡の是正をめぐるIMFの政策がシステムの安定化に重要な役割を果たしていたという、新たな学説を提示しました。

 本研究の成果は、学術誌「歴史と経済(2017年1月)」等に掲載されました。

図:本研究の概要。右下の写真はIMF資料館所蔵の政策文書のサンプル。
図:本研究の概要。右下の写真はIMF資料館所蔵の政策文書のサンプル。

書誌情報

西川輝 (2017)「ブレトンウッズの再検討」『歴史と経済』第234号, pp.38-44.新しいウィンドウが開きます

研究者情報
西川 輝:研究者総覧新しいウィンドウが開きます