教員紹介

公共工事の入札における総合評価方式導入の理論及び実証研究

2021年5月31日

 鶴岡昌徳准教授は、公共工事の入札制度の研究をしています。その中でも総合評価方式と言われる比較的新しい入札制度に関する理論及び実証研究をしています。

 公共工事の市場は非常に規模が大きく、数兆円から数十兆円規模の市場です。日本では、各地方自治体などの政府が公共工事を行う際に、どこの建設会社に工事をしてもらうかを選ぶために入札(オークション)が行われています。そこでは、政府が新たに作りたい橋やトンネルを入札にかけて、何社かの建設会社に価格を出してもらいます。その中で最も低い価格を出した建設会社が工事をやることになるというルールが基本です。もちろん、政府は、税金の無駄を避けるためになるべく工事の費用を安く抑えたいと考えているはずです。ただ、政府は公共工事を行う際に、価格だけでなく品質にも注意を払っています。なぜなら、安かろう悪かろうの工事が行われることによって、みんなが使っている橋やトンネルが突然崩れて壊れてしまったら大惨事になってしまうからです。したがって、近年、価格と品質の両面で入札者が競争する総合評価方式といわれる入札方式が普及しつつあります。

本研究では、まず、どのような総合評価方式が理論的に望ましい性質を持っているのかを研究しています。さらに、日本の公共工事の入札データを用いて、価格のみで入札者が競争をする方式と総合評価方式の比較を行い、どういう場合に総合評価方式を使うことの効果がより大きいのかについても分析しています。今のところ、トンネルや橋梁工事のような技術的に難しい工事の方が、総合評価方式を使うことの効果が高いという実証結果を得ています。

書誌情報

Hanazono, Makoto, Nakabayashi, Jun, and Tsuruoka, Masanori (2013) Procurement Auctions with General Price-Quality Evaluation, KIER Discussion Paper (Institute of Economic Research, Kyoto University), 845:1-24. 新しいウィンドウが開きます

研究者情報
鶴岡 昌徳:研究者総覧新しいウィンドウが開きます